カメルーン綿生産者 Fairtrade Cotton You Tube
フェアトレード(公平貿易)とは、発展途上国で作られた作物や製品を適正な価格で継続的に取引することによって、生産者の持続的な生活向上を支える仕組みです。
これまでの一方的な資金援助は、援助する側の都合によって左右され、継続性に欠けるという問題点がありました。
それに対し、フェアトレードは、私たち消費者が自分の気に入った商品を購入することでできる身近な国際協力のかたちなのです。この方法なら、援助する側の負担も少なく、無理なく継続的な援助ができます。
南の国々との公平な貿易、フェアトレード運動は、ヨーロッパを中心に1960年代から本格的に広まり、現在では数千店舗の「第三世界ショップ」が世界中に開かれています。日本でもフェアトレードに取り組む団体やフェアトレード商品を扱うお店が増えてきています。
しかし、それは理解のある限られた市民による消費者運動であって、一般のマーケットとの接点はなく、輸入額も限られています。そこで、フェアーな値段でもっと買ってほしいという途上国の生産者の声に応えて考え出されたのが、フェアトレードラベル運動です。
1988年にオランダで(組織名マックスハベラー)はじまり、その後1992年にドイツを中心に(組織名トランスフェア)ラベル運動が広まっていきました。1997年には、世界各国にあるフェアトレードラベル運動組織が1つにまとまり、FLO( Fairtrade Labelling Organizations International )「国際フェアトレードラベル機構」という国際ネットワーク組織が設立され、現在加盟国は、ヨーロッパほぼ全域、アメリカ、カナダ、日本の計24ヶ国。中南米、アフリカ、アジアの計58ヶ国、948生産者団体がFLOの生産者認証を受け、2018の業者(産品ごとの延べ業者数)が登録しています。150万人の生産者,家族を含む750万が、フェアトレードの恩恵を受けています。(2009年12月現在)
フェアトレード認証製品の世界全体の推定市場規模は、2007年は、23億ユーロ(約3,700億円)と前年比47%の伸び、2008年の推定市場規模は、29億ユーロ(約4000億円)と拡大しています。その4000億円のうち生産者が、通常のマーケットで販売するより約240億円多くを受け取っていると推定されます。
日本で販売されているラベル商品の一部
下:日本で最初に発売されてたわかちあいプロジェクトの
フェアトレードラベルコーヒー カフェマム 1993年4月

日本では、1993年にいくつかの市民団体(NGO)と教会組織が集まってトランスフェアジャパンが設立されました(2004年2月世界共通の新しいロゴの採用にともない、名前をトランスフェアから、フェトレード・ラベル・ジャパンと変更し、NPO法人化しました)。 ラベル導入の経緯
FLOは、フェアトレードの国際基準を設定し、それを守って輸入された商品にラベルを与えることで、それまでなかなか一般のマーケットに広げにくかったフェアトレード商品のマーケットシェア拡大を目指しています。
★広がるフェアトレード認証商品の
マーケットシェアー(例、2007年)
バナナ(スイス) 53%
切花(スイス) 28%
パイナップル(フィンランド) 20%
レギュラーコーヒー(イギリス) 20%
コーヒー(USA) 6%
一般の業者でも、このルールに賛同しフェアトレードに参加することができるようになり、スーパーにもラベル商品が並ぶようになりました。基準を守って輸入された商品には、フェアトレード商品であることをあらわすラベルを貼ることが許され、消費者はそのことを理解して、ラベル付き商品を選んで購入し、途上国の生産者を支援することができます。この運動の中心的役割を果たしてきたオランダでは、なんと消費者の90%がラベルの意味 を知っているほどに普及しています。(海外での普及を知るには、世界のフェアトレードラベル団体をチェック)
一方、日本では、スターバックコーヒー、タリーズコーヒー、イオン、無印など有名企業が2003年から徐々にフェアトレードラベルに参加していますが、、2008年の推定市場規模は、14億円程度と海外と比べられないほど小さな状況です。日本におけるフェアトレード認証商品の売上げ推移(2008年)(PDF:33.9 KB)
フェアトレードという言葉が日本でも普及してきていますが、フェアトレードラベルの特徴は、各品目ごとに基準が設定され、生産者も その基準に基づいて、第三者機関としてのFLO認証会社の専門査察官によって認証され、輸入業者や販売業者も監査される体制がつくられていることです。
ラベル商品を購入することで消費者は安心、信頼してフェアトレード商品を購入すること ができます。その点国が定める有機栽培のJAS認証制度と類似しています。有機栽培についても、民間の運動としてはじまり、不明確でまぎらわしい表示から消費者を守るために国がJAS規格を定めた経緯があります。

有機食品のJAS規格に適合した生産が行われていることを登録認定機関が検査し、その結果、認定された事業者のみが有機JASマークを貼ることができます。
この「有機JASマーク」がない農産物と農産物加工食品に、「有機」、「オーガニック」などの名称の表示や、これと紛らわしい表示を付すことは法律で禁止されています。 有機食品の検査認証制度(農林水産省)

途上国のコーヒー生産者が、苗を育て、肥料をやり、日々の農作業を通して収穫を迎えて も、コーヒーの国際価格は、天候による不作や収穫量の増大による供給過剰や投機マネーによって乱高下します。市場の知識や情報にうとかったり、業者との交渉の手だてを持っていない立場の弱い生産者は、ときには仲買人のいいなりに、生産コストを下回る価格で売らざるを得ない状況に追い込まれます。
FLOは、この不公平な仕組みを根本から見直すべく、新たな貿易の形を促進しています。基準を満たした良い生産物を世界の市場より高い価格で、しかも生産者が債務の罠にはまらないように前払いでかつ長期の契約を結ぶという貿易のルールを作りました。
「国際フェアトレードラベル機構」(FLO)の定めるコーヒーと紅茶などの基準とは、次の通 りです。
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基準は、コーヒー、紅茶、ココア、砂糖、蜂蜜、バナナ、オレンジなどの果物やジュース類、スパイス、ナッツ、オリーブオイル、米、大豆、ワ イン、ビール、綿と綿製品、切花、サッカーボールなどが設定されています。FLOの役割は、直接に貿易を行うことではなく、フェアトレードの共通の基準を設定し、参加を希望する業者にラベルの使用を許可し、基準が守られていることを消費者のためにモニターすることです。
フェアトレードラベル運動が始まる前から、手工芸品を中心とする生産者と消費国のフェアトレード団体の連盟としてWFTO(World Fair Trade Organization)があります。 WFTOのホームページへ
ヨーロッパの主要なフェアトレード団体は、各国のフェアトレード・ラベル団体の設立を支え、FLOとWFTOに同時に参加しています。FLOの基準が設定されるとラベルを採用して、スーパーやデパートでラベル商品を販売しています。
フェアトレードが盛んなヨーロッパでは、いわゆるフェアトレード商品の売上げの90%がフェアトレードラベル商品で、10%がラベルなし(WFTO)商品といわれています。フェアトレードラベル商品の割合が増えてきています。コットン商品のフェアトレード認証が始まってますますその傾向は大きくなっています。
フェアトレード・ラベルの採用のために、@奨励金(生産者への支払)A輸入業者としての登録料(FLOへの支払)Bラベルの使用料(小売値の約1%、各国のラベル組織への支払)Cラベル付きの新しいパッケージの製作と短期的には負担が増えることになります。しかし、長期的にみれば、自らのマーケットを広げることができると共に、フェアトレードの普及、拡大に貢献することになります。フェアトレードは1団体、1企業が取り組むべき課題ではなくなっています。

フェアトレードは第二次世界大戦後に生まれた新しい 考えですが、平行して誕生したのが民間の国際協力団体(NGO)です。わかちあいプロジェクトの協力団体であるルーテル世界連盟も第二次大戦後の復興活動や難民支援のために設立されています。発展途上国を支援しようとすることでは共通な考えですが、NGOは災害復興、難民支援、教育、医療などの分野をにない、フェアトレードは経済活動の分野をになっています。
60年の歴史を経て、フェアトレードの意義がより重要なものとなっています。
●単なる支援と比べてフェアトレードは、生産者の自立を促し、人々に義務と責任を求める結果、尊厳と誇りを持つことにつながっている。
●現在と将来にわたる主要な地球的課題は、環境問題と南北問題(南の国と北の国の経済格差と南の国の貧困問題)です。多くの戦争や争いの原因は、貧困問題が底辺にあります。フェアトレードはこの課題への具体的取り組みです。
●発展途上国では農業が主要な産業です。労働人口の多くは農業に従事しています(ケニア 60%.、バングラディッシュ62%)。農業生産者を支えることが貧困問題への取組みの基礎といえます。
●環境問題と同じように社会の各層が協力して取り組んだ結果、イギリスでは推定売上げ高が、1100億円を越えるまでになりました。この流れは世界の流れです。ぜなら貧困問題は避けて通れない世界の課題だからです。
●いままではODA(政府開発援助)を用いて、世界の貧困問題に取り組むという考えが一般的でしたが、現実には必ずしもうまく機能しなくて、かえって貧富の差は広がっています。フェアトレードは、その役割を担うほどの広がりを持つ可能性があります。
●途上国の農業生産者を支えるために忘れてはいけないのは、ヨーロッパ、アメリカなどの政府による農業補助金の問題です。ヨーロッパの砂糖生産者に支払われる巨額の補助金によって、市場価格が低く抑えられて、その結果、途上国の砂糖農民が苦しみ、アメリカの綿生産者への補助金が、インドやアフリカの綿生産者を苦しめるという構造になっています。 フェアトレードに取り組むときに忘れてはいけない問題です。フェアトレードだけ強調するのは、一種の偽善になる構造があります。幸い日本は、政府の補助金が途上国の農民を苦しめるという構造になっていません。その意味で、堂々とフェアトレードを主張できる立場にあります。
●ソビエト連邦の崩壊、中国の改革開放政策などにより、イデオロギーによって社会矛盾を解決するという考え方が過去のことになり、人権やフェアトレードが世界共通の社会改革の課題と考えられるようになってきている。
●残念ながら日本ではこれらのことが理解されていないために、フェアトレードの普及が遅れているのです。
このような理由が考えられます。
●これだけ国際化して、その恩恵を享受していながら、私たちの意識は内向きで、それで問題を感じない。
●フェアトレードそのもが一般市民に普及していない。
●フェアトレードの意義が十分に理解されていない。
●日本ではフェアトレードの経済開発的側面と社会開発的側面が理解されていないため、国際協力のテーマとして真剣に取り上げられていない。
●イギリス(2008年の推定市場規模:1100億円)、フランス(330億円)などフェアトレードの盛んな国は、かっての植民地とのつながりが深く、移り住んだ人たちとの国内問題をかかえ、フェアネス(fairness)が日常の課題となっていると思われるが、日本では、そのようなフェアネスはあまり意識されていない。
●ヨーロッパなどのように開発NGOや政府が、フェアトレードラベル組織を財政的に支援していない。そのため専門のスタッフによるフェアトレードの普及活動に取り組めない。
●農業生産者を支えるというフェアトレードに一番近い理念をかかげる消費者団体は生活協同組合です。しかし、日本の生協は、フェアトレードラベル運動に参加していません(日本の不思議です。イギリスでは全体の売り上げの約20%は生協による売り上げです。わかちあいプロジェクトが輸入販売していますフェアトレードビールは、イギリスの生協用に製造されたものです)。昨年の11月 ブルッセルのEU議会で 「フェアトレードで貧困に取組むー生活協同組合の選択」という会議が開かれています。
韓国の生協は、わかちあいプロジェクトが紹介したフィリピンの砂糖生産者から、砂糖を輸入し、すでにフェアトレードラベル商品の販売を開始しています。日本の生協よりはやくフェアトレードラベルに取り組んでいます。 「日本の生協は何しているの?」と問いたいです。
★イギリス生協のフェトレードの取組み例
●日本の農業従事者、農協もフェアトレードを通して、途上国の農民を支えようという意識がありません。10年も前になりますが、農協の組合に呼ばれて、フェアトレードについて話したことがあります。農協(全農)も生協(日本生活協同組合連合会)も加盟しているICA(International Co-operative Alliance)の取り組むべき課題にフェアトレードがあげられています。
●もともとフェアトレードの理念にもとづいて活動をしている団体は、自分の活動に精一杯で、フェアトレードを広く普及させるために欠かせない、フェアトレードラベルに参加していません。
●その他