普通の商取引とフェアトレードの違いは基準にあり

フェアトレードという言葉が日本でも普及してきていますが、フェアトレードラベルの特徴は、各品目ごとに基準が設定され、生産者も その基準に基づいて、第三者機関としてのFLO認証会社の専門査察官によって認証され、輸入業者や販売業者も監査される体制がつくられていることです。
ラベル商品を購入することで消費者は安心、信頼してフェアトレード商品を購入すること ができます。その点国が定める有機栽培のJAS認証制度と類似しています。有機栽培についても、民間の運動としてはじまり、不明確でまぎらわしい表示から消費者を守るために国がJAS規格を定めた経緯があります。 
国際フェアトレード基準


 フェアトレード認証ラベルの 現在の加盟国は、ヨーロッパほぼ全域、アメリカ、カナダ、日本の計21ヶ国。中南米、アフリカ、アジアの計58ヶ国、872生産者団体がFLOの生産者認証を受け、2202の業者が登録しています。150万人の生産者,家族を含む750万が、フェアトレードの恩恵を受けています。
  フェアトレード認証製品の世界全体の推定市場規模は、2007年は、23億ユーロ(約3,700億円)と前年比47%の伸び、2008年の推定市場規模は、29億ユーロ(約4000億円)と拡大しています。その4000億円のうち生産者が、通常のマーケットで販売するより約70億円多くを受け取っていると推定されます。
 一方、日本では、スターバックコーヒー、タリーズコーヒー、イオン、無印など有名企業が2003年から徐々にフェアトレードラベルに参加していますが、、2008年の推定市場規模は、14億円程度と海外と比べられないほど小さな状況です。

★紅茶園の中で運営されているコンピュータースクール

フェアトレード奨励金の役割:エチオピア、オロミアコーヒー生産者組合連合

エチオピア人口4人1人がコーヒー産業に従事しており、輸出額の50%以上がコーヒーという状況。しかし大多数のコーヒー豆が非フェアトレード条件下で取 引されており、1kgあたりの農民受取り額、コーヒー生豆1kgに換算約100円前後、(フェアトレード価格は、1kgは約400円、農民への支払いは280円前後と推定されます)(2007.3)
 奨励金(コーヒー価格とは別途支払われる社会発展のための基金。生豆1kg あたり約22円)により、現在までに20の小学校を建設。そのほか医療センター、水、道路の建設を実施。コーヒー生産者だけではなく、地域の住民全体に恩恵が行き渡っている。

スリランカ、イダルガセナ茶園-住民参加で将来への希望を描ける-

13年前の課題は、お茶園の労働者の長屋にトイレを設置することでした。有機栽培のコンポストも十分に整備されているとは思えませんでした。今回の訪問でその様子は一変していました。完備された有機栽培のための施
設に加えて、フェアトレードの奨励金で保育園6校、診療所3箇所、コンピューター学校などができており、医者、看護婦、保育士など70名以上のスタッフが、お茶園の住民2300人のために働いています。お茶園全体が整い清潔で、皆さん明るく、自信に満ちていました。
年間約140トン生産される紅茶の60%が、ドイツのフェアトレード団体、GEPAや私たちに、フェアトレード条件で販売されるために、労働者への通常の支払いに加えて、社会発展のための奨励金を予算化することができます。昨年の実績は約1500万円でした。お茶園の労働者の月収が6000円前後ですので、大変な金額です。私たちが継続して購入することにより、毎年、それだけの資金使えることになり、現在は、長屋から、個人住宅をもてるように資援助と貸付で労働者を支援しています。
今回、一番痛感、し教えられましたのは、自分たちが参加して、状況を良くしていくなかで労働者や従業員が持つことができるようになった精神的な自信にあるように思います。社会開発の活動は、ジョイントボディーというお茶園の労働者の代表と管理側のお茶園のマネージャーや会社のスタッフ側で構成され、毎月議論を進めながら実行しています。
発展途上国の人たちの多くは、その日暮らしの状況にあり、毎日の暮らしに追われています。その中で共に地域のこと、子供の教育のこと、健康のことなどを考えて、計画を立て自分たちで実行できることは、何よりも生きる自信を持つことになり、将来への希望を描けるのです。イダルガセナは、例外的な成功例ともいえます。その恩恵を受ける人たちが広がるためには、フェアトレードのますますの普及が必要です。

フェアトレードの意義について-ODAに匹敵する,1企業、1団体を越えた社会の課題-

フェアトレードは第二次世界大戦後に生まれた新しい 考えですが、平行して誕生したのが民間の国際協力団体(NGO)です。わかちあいプロジェクトの協力団体であるルーテル世界連盟も第二次大戦後の復興活動や難民支援のために設立されています。発展途上国を支援しようとすることでは共通な考えですが、NGOは災害復興、難民支援、教育、医療などの分野をにない、フェアトレードは経済活動の分野をになっています。

60年の歴史を経て、フェアトレードの意義がより重要なものとなっています。
●単なる支援と比べてフェアトレードは、生産者の自立を促し、人々に義務と責任を求める結果、尊厳と誇りを持つことにつながっている。
●現在と将来にわたる主要な地球的課題は、環境問題と南北問題(南の国と北の国の経済格差と南の国の貧困問題)です。多くの戦争や争いの原因は、貧困問題が底辺にあります。フェアトレードはこの課題への具体的取り組みです。
●発展途上国では農業が主要な産業です。労働人口の多くは農業に従事しています(ケニア 60%.、バングラディッシュ62%)。農業生産者を支えることが貧困問題への取組みの基礎といえます。
●環境問題と同じように社会の各層が協力して取り組んだ結果、イギリスでは推定売上げ高が、1100億円を越えるまでになりました。この流れは世界の流れです。ぜなら貧困問題は、避けて通れない世界の課題だからです。
●いままではODA(政府開発援助)を用いて、世界の貧困問題に取り組むという考えが一般的でしたが、現実には必ずしもうまく機能しなくて、かえって貧富の差は広がっています。フェアトレードは、その役割を担うほどの広がりを持つ可能性があります。
●途上国の農業生産者を支えるために忘れてはいけないのは、ヨーロッパ、アメリカなどの政府による農業補助金の問題です。ヨーロッパの砂糖生産者に支払われる巨額の補助金によって、市場価格が低く抑えられて、その結果、途上国の砂糖農民が苦しみ、アメリカの綿生産者への補助金が、インドやアフリカの綿生産者を苦しめるという構造になっています。 フェアトレードに取り組むときに忘れてはいけない問題です。フェアトレードだけ強調するのは、一種の偽善に堕ちる構造があります。幸い日本は、政府の補助金が途上国の農民を苦しめるという構造になっていません。その意味で、堂々とフェアトレードを主張できる立場にあります。
●残念ながら日本ではこれらのことが理解されていないために、フェアトレードの普及が遅れているのです。

世界第2位のGDP国、日本でなぜフェアトレードが普及しないのでしょうか? 

このような理由が考えられます。
●これだけ国際化して、その恩恵を享受していながら、私たちの意識は内向きで、それで問題を感じない。
●フェアトレードそのもが一般市民に普及していない。
●フェアトレードの意義が十分に理解されていない。
●日本ではフェアトレードの経済開発的側面と社会開発的側面が理解されていないため、国際協力のテーマとして真剣に取り上げられていない。
●イギリス(2008年の推定市場規模:1100億円)、フランス(330億円)などフェアトレードの盛んな国は、かっての植民地とのつながりが深く、移り住んだ人たちとの国内問題をかかえ、フェアネス(fairness)が日常の課題となっていると思われるが、日本では、そのようなフェアネスはあまり意識されていない。
●ヨーロッパなどのように開発NGOや政府が、フェアトレードラベル組織を財政的に支援していない。そのため専門のスタッフによるフェアトレードの普及活動に取り組めない。
●農業生産者を支えるというフェアトレードに一番近い理念をかかげる消費者団体は生活協同組合です。しかし、日本の生協は、フェアトレードラベル運動に参加していません(日本の不思議です。イギリスでは全体の売り上げの約20%は生協による売り上げです。わかちあいプロジェクトが輸入販売していますフェアトレードビールは、イギリスの生協用に製造されたものです)。昨年の11月 ブルッセルのEU議会で 「フェアトレードで貧困に取組むー生活協同組合の選択」という会議が開かれています。
  韓国の生協は、わかちあいプロジェクトが紹介したフィリピンの砂糖生産者から、砂糖を輸入し、すでにフェアトレードラベル商品の販売を開始しています。日本の生協よりはやくフェアトレードラベルに取り組んでいます。  
イギリス生協のフェトレードの取組み例
●日本の農業従事者、農協もフェアトレードを通して、途上国の農民を支えようという意識がありません。10年も前になりますが、農協の組合に呼ばれて、フェアトレードについて話したことがあります。農協(全農)も生協(日本生活協同組合連合会)も加盟しているICA(International Co-operative Alliance)の取り組むべき課題にフェアトレードがあげられています。
●もともとフェアトレードの理念にもとづいて活動をしている団体は、自分の活動に精一杯で、フェアトレードを広く普及させるために欠かせない、フェアトレードラベルに参加していません。
●その他