キボンド難民キャンプ視察報告書

                                   わかちあいプロジェクト 中島佳織


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 訪問地および目的

TCRSダルエスサラーム本部 -平成14年度わかちあいプロジェクト支援金に係る会計書類の受取り

■キボンド難民キャンプ -日本から輸送した古着・乾パンの配給状況の視察

-平成14年度わかちあいプロジェクト支援金によって購入された

  医療器具の確認および医療施設の視察

2.日程 2003年2月17日~2月25日

3.キボンド難民キャンプ設立の背景

ブルンジでの初の民主的な選挙によって選出されたフツ族のンダダエ大統領が1993年10月21日に暗殺されたのを引き金に、多くのブルンジ人が国境を越えタンザニアへと流出し難民となり、1994年3月、キゴマ地区キボンドにおける最初のキャンプ「カネンブワキャンプ」、続けて「ムクグワキャンプ」が設営された。その後、1996年にクーデターによってブヨヤ大統領が再任したのを機に、再び大量のブルンジ難民がタンザニアに流入し、1996年7月「ムテンデリキャンプ」、同年12月「ンドゥタキャンプ」が開設され、さらに継続的に流入してくる難民のために1999年12月「カラゴキャンプ」が設けられ、キボンド地域の難民キャンプは合計5つとなる。現在もなお一日平均して100人もの難民がブルンジから避難してきている。

4.各キャンプ詳細

ブルンジ国境からキボンドの各キャンプまでの距離は平均して約25kmほど。

キャンプ名

設立時期

収容難民

人口(女性の数)

2002年8月13日現在)

Kanembwa
カネンブワ

1994年 3月

 ブルンジ人 フツ族

19,124(4,656)

Mkugwa
ムクグワ

1994年 3月

ブルンジ人 フツ族と
ツチ族の夫婦
ルワンダ人 
コンゴ人

1,933 (no data)

Mtendeli
ムテンデリ

1996年 7月

ブルンジ人 フツ族

42,136(11,084)

Nduta
ンドゥタ

1996年12月

ブルンジ人 フツ族

49,004(13,318)

Karago
カラゴ

1999年12月

ブルンジ人 フツ族

35,279(8,431)

合計

147,476(37,489+α)

5           平成14年度わかちあいプロジェクト支援プロジェクト報告

5-1 古着

 私が滞在中に配給があったのは、カネンブワキャンプ(4,848家族)のみだったが、それでも2万人近い人口への物資配給作業は大掛かりで何度も実施するのは大変なことなので、古着だけでなく生活用品(バケツと調理用鍋)も一緒に配給された。

 5-1-1 配給量

1家族にバケツ1個、調理用鍋1個

一人につき古着1枚

5-1-2 配給の様子

 家族の一人が代表で物資を受け取りにくる。配給カードにパンチで穴をあけられた後(配給を受けたというしるし)、家族数に応じて物資が手渡される。古着は、男もの・女もの・子ども用、とかなりおおざっぱに分類された山から手渡されるため、適当な種類やサイズのものを渡されないことが多い。配給所を出ると、外では難民どおしで古着を交換している。

5-1-3 期待される効果

 新しい服が配られることで、通学率アップが多いに期待される。適当な服を持っていないがために、学校に通うことを嫌がる子供も多い。特に女子生徒は、学校に来て行く服(ボロボロではない適当な服といういう意味で)がないために、学校に行けないことが意外に多い。

5-2 乾パン

5-2-1配給対象者

 2002年6月、わかちあいプロジェクトからキボンド難民キャンプ向けに輸送した乾パン総数は10,080缶。5つのキャンプの難民総数は約15万人にも上るため、とても全難民には行き渡らない。TCSRは今回の乾パンをカネンブワセカンダリースクールとキボゴラセカンダリースクール(ムテンデリとカラゴの中心に位置する)、2つの学校の生徒にターゲットを絞り配給を決定した。

5-2-2 背景

 初等教育機関であるプライマリースクールは各キャンプに数カ所開設されているが、中等教育機関であるセカンダリースクールは数が少なく、カネンブワキャンプに1校、ムテンデリとカラゴキャンプの中間地点に1校のみである(ンドゥタキャンプ付近にも1校あるが、カウンターパートNGOであるTCRSではなく他のNGOにより運営されている)。1つのキャンプをとってみても最大全長9kmと広大で、生徒は最大2時間かけて徒歩で通学している。そのため、昼休みに家に戻って昼食を取ることができず、朝8時の始業から午後3時の終業時まで一切食事を取ることができない。

 距離的な理由以上に、厳しい食糧配給事情のため、ほとんどの難民が一日一食のみという現状で、栄養状態は決してよくない。給食として乾パンを提供することで、生徒の栄養面の改善を図るとともに、少しでも多くの生徒(特に女子)が学校に通い続ける動機とするねらいもある。

5-2-3 配給状況

 カネンブワセカンダリースクールでの配給を見学。2人の生徒につき1缶の配給。1缶は100gと少量で、ほとんどの生徒が数分で平らげてしまっていた。空き缶はさっそく水を飲む時のコップとして重宝されていた。見学に行った2月21日、まさにその日から乾パン配給が開始されたのだが、学校の先生によれば、この乾パン配給はストックがなくなるまで毎日続けられるとのこと。とは言え、日本から輸送したのは10,000缶ばかり。この学校の分だけを計算してみても10日間続ければなくなってしまうだろう。

5-2-4 期待される効果

  1. 生徒の栄養面の改善。
  2. より多くの生徒が学校に通い続けるようになる。特に女子生徒の通学率アップが期待される。
  3. これまで朝8時の始業(そのためには家を6時に出てくる生徒も)から午後3時過ぎの終業まで、なにも口にせずに空腹を耐えて勉強していたことに比べ、集中力がアップするのは確実である。

5-2-5 カネンブワセカンダリースクールの概要

  1. 生徒数563人(うち女子161人)
  2. 先生28人(うち女性は1名)は全員ブルンジ人。半数は母国ブルンジで教師だった人たちだが、残り半数はキャンプでトレーニングを受け教師になった人たち。
  3. キャンプ内の全ての学校は、ブルンジの教育システムに準じている。プライマリーがStandard 1~6までの6年間、セカンダリーがStandard 7 およびForm 1~6の7年間。
  4. 現金収入プログラムとして、養鶏(159羽)、牛2頭、野菜栽培を行っている。2002年5月からの新しいプログラムのため、収益はプログラム自体の運営費に回しているのが現状だが、軌道に乗ってきたら学校の運営費や生徒の給食費に充てる予定。

5-3 医療器具

5-3-1 今回の支援先UMATIについて

 UMATIは1959年に設立されたタンザニアのNGOである。主な活動内容は、家族計画、リプロダクティブヘルスのための教育活動、衛生教育、医療サービスなどである。活動実績が長く、タンザニア政府からの信頼も厚い。1998年からキボンド難民キャンプで医療とコミュニティサービスを担当している。内、医療サービス部門では、カネンブワとムクグワの2つのキャンプを担当し、約20,000人の難民に医療サービスを提供している。各キャンプに外来病棟と入院病棟を各1棟ずつ設置している。

(今回のわかちあいプロジェクトの支援によって購入された医療器具は、これら外来病棟と入院病棟のほか、各キャンプに数カ所ずつ設置されているクリニックにも、くまなく配布された。)

5-3-2 支援の効果

 今年度のわかちあいプロジェクト支援によって購入された医療器具は、聴診器、はさみ、血液検査器具、白血球検査器、医薬品調合器具、はかり、出産用ベッド、医療用エプロン、手袋など、どれもこれまでは圧倒的に数が不足していて、数病棟で共有していたものばかりである。聴診器ですら、各診療室にはなかったため、その都度、医師が別室・別棟まで借りに行かなければいけないような状態であった。今年度の支援により、聴診器、はさみ、医療用手袋やエプロンなど、本来、各診察室ごとに持つべき基本的な医療器具が整い、医療レベル・効率は格段に改善された。また各検査器具の整備により、より精密な検査が可能になり、難民へよりより治療が施されている。 

5-3-3 キャンプ内の医療現状

◆外来病棟患者数:一日約300人、月平均約9,300人(2つのキャンプの合計)

◆入院患者数:月平均約400人(2つのキャンプの合計)

◆新生児数:月平均約90人(2つのキャンプの合計)

◆入院病棟ベッド数:カネンブワキャンプの場合

男性病棟18/女性病棟22/小児科病棟22 合計62(現状はそこに85人の入院患者が詰め掛けているため、ベッドが圧倒的に不足している)

◆死亡原因:第1位 マラリア  第2位 呼吸器系感染症(肺炎など) 第3位 下痢

5-4 Urban Refugee(都市に暮らす難民)へのサポート

 TCRSのダルエスサラーム本部は、ダルエスサラームにいる(もしくはセキュリティー上の理由によりキャンプから転送されてきた)Urban Refugeeに対する支援も行っている。日本から送られた古着や乾パンはそうした難民にも役立てられている。

  1. 6 課題・現地の要望

6-1 古着・乾パン支援に関して

  1. 15万人もの難民を抱えるキボンドでは、あらゆる支援物資が大量に必要である。数が足りない場合、配給対象者を絞らざるを得なかったり、必要数が溜まるまで配給ができなくなる。現地での通関や輸送費用等コストの問題はあるが、日本からの古着は数が多ければ多いほど現地では確実に役立てられている。
  2. 圧縮梱包をできるだけ早く導入する必要がある。輸送費用の節減だけではなく、盗難や紛失を防ぐためにも有効である。ダンボールはキボンドに到着するころには崩れてしまうことが多く、その結果、中身の洋服が箱から飛び出してしまい、スタッフ内部での盗難がまったくない、とは言いきれない。
  3. 圧縮梱包をする際、古着を種類ごと(男・女、大人・子ども・幼児・乳児)に分け、1束あたりの枚数を統一する、もしくは内容物の詳細を束ごとに表に記載するなどを日本であらかじめすることで、現地での配給手配が格段にスムーズになる。

ブルンジ女性の着用するものは、文化的にスカート・ドレス・カンガ(一枚布を巻きスカートのようにして使用)ばかりで、ズボンを着ている女性は全く見かけなかった。西欧諸国からの古着は、すでに分類分けされてくるが、いくら女性用のズボンであっても、キャンプ内ではそれらを女性に配給することはできない。もしそうしたズボンが女性に配給されてしまった場合、その難民女性はなんとかほかの人と交換してもらおうと苦労することになる。

靴下、帽子、靴、ハンカチ等の細々したものは集める必要なし。配給に困るだけ。靴も同様。

  1. タオル、毛布、シーツは歓迎。<![endif]>乾パン配給の際、最高学年である6年生のクラスを訪れ、生徒と話しをする機会を得た。みな乾パンの空き缶に書いてある日本語に関心があり、説明を求められたためそれぞれ英語に訳したが、最後に「賞味期限」を聞かれ、とっくに切れていることをどう説明していいか、戸惑ってしまった。

どこへ行っても、わかちあいプロジェクトの支援に対して感謝された。特に古着支援は、私たちのほか、カナダとアメリカからのみで、そのなかでもわかちあいの輸送量は多い方とのこと。継続的な支援が求められている。

6-2 その他

  1. カネンブワセカンダリースクールの6年生からのリクエストで、計算機、コンピュータ、奨学金制度へのサポートを求められた。キャンプ内のセカンダリースクールを終了したあと、タンザニア国内の大学や専門学校に進学させる制度がいくつかのNGOにより実施されている。2002年にはカネンブワセカンダリースクール卒業生の中から8名が大学に進学した。しかし、枠はまだまだ限られており、より多くの生徒に門戸が開かれることが強く求められている。
  2. UMATIより、今後の継続的な支援の可能性を聞かれた。